神龍の宴 覚醒の春
夢の中の自分は、狂おしいほどにその青年を愛していた。


ハダサ。


ふと、呟きが滑り出た。


凛は慌てて口を塞ぐ。

その様子を、爽も開も見逃さなかった。



「こうも無防備だとやりづらいな。心中、察して余りあるよ、爽」


開は楽しげに言う。


爽は黙ったまま、玄関を後にした。

開がその後に続いて家を出る。


開は車のキイを弄びながら


「凛は一生あのまま、何も思い出せずに終わるかもな」


「……」



「着々とコマは揃い始めている。何も知らないのはあいつだけだ」






< 6 / 38 >

この作品をシェア

pagetop