極上ブラザーズ!!(仮)
「手に持っているものは何ですか」
「えっ」
遼さんはパッと私が手の中に持っていたものを取る。
「……ふうん。氷室先生の研究用の本のリストですか……」
「か、返して下さいっ」
「こんなの1人で持っていけないでしょうが。僕もついて行きます」
「え!!!」
どうしよう。
まだ図書館に翔くんがいたら――。
私はまた泣いちゃうんじゃないだろうか。
「ほら、行きますよ」
「……遼さん……」
優しい声、仕草。
気を遣ってくれているのが一目で分かった。
だからこそ、手伝ってほしくなかった。
兄に嫉妬している自分を見られたくなかったんだ。
「――なんて顔してるんですか」
遼さんは穏やかな表情で私の頭をポンポンと撫でてくれる。
こんなことされるような女じゃないのに。
本当はもう分かってる。
認めたくないだけで本当は……心の奥の底では自分の気持ちに気付いてた。