極上ブラザーズ!!(仮)
「ふうん……。やっぱりそうなんですねぇ」
遼さんは私と翔君を交互に見た後、穏やかだけど、どこか含みのある笑顔を浮かべた。
「翔、ちょっと此処は帰ってもらえますか?僕、彼女と二人きりになりたいんです」
「!!遼!……お前、何か企んでない?」
翔君は眉をひそめて、遼さんを睨む。
だけど、遼さんはそんなことお構いなしに私の肩を掴んで、さっと自分の方へ引きよせた。
「きゃぁ……っ!」
ぴったり、くっつく私と遼さん。
……は、恥ずかしいよぉ。何でこんなことするのか私には理解不能だった。
「……早く行きなさい。話をするだけですから」
冷たく氷のように輝く遼さんの瞳。
そんな遼さんを見て、私は怖いと思った。
「うん、大丈夫だから行ってほしいな」
……私なんかが原因で兄弟の仲を壊してほしくない。
私は大げさなぐらいニッコリと笑った。
「……分かった。俺は遼を信じるからね」
翔君は心配そうに何度も私の方を振り返りながら、図書館を出て行った。