極上ブラザーズ!!(仮)
Chapter10.Quartet love
ガサッ
「ちょっと、何してんの」
いきなり背後から颯太君の手が掴まれた。
「え……」
翔君だった。
息を切らせ、いつもクールな翔君に似合わず、
瞳の中が暗く濁っている。
「別に?」
さっきまでしつこく回していた手もあっさり颯太君ははずす。
「別にってことないでしょ。こいつ怯えてる」
「……ふっ。そんなこと貴方に言う、必要性あるんですか?」
鼻で笑う、颯太君。
翔君も負けじと言い返す。
「は?」
「黒崎先輩……ですよね?美優ちゃんとどういう関係なんですか?」
「何が言いたいの」
「何が言いたいって……。俺は聞きたいんですよ。いつもクールで何にも動じないという黒崎翔さんがどうして、そんなに動揺しているのかを」
「動揺なんかしてない。俺は単に、こいつが心配だったんだけど?」
翔君……。
こんな状況なのに、嬉しいって思ってしまう私はダメ?
やっぱり。
やっぱり私、翔君のことが好きだよ。大好き。