極上ブラザーズ!!(仮)
「ねぇ」
翔君の声が少し冷たい。
「お前、これからどうするつもりなの?」
ぱっと手を解かれて、
私は自分の手の居場所が分からず少し戸惑った。
ちょっと、いやかなり、寂しい。
「え……どうするって?」
しどろもどろになりながら尋ねると、
翔くんは綺麗な顔を歪めた。
「あいつ。何者なわけ?」
「……颯太くんは、その。予備校で出会った初めての友達で、えっと……」
「あいつとお前の馴れ初めなんてどうでもいいんだけど?」
「……ごめんなさい」
「別に。何かお前さ、いつも面倒事に自分から首突っ込んでる気がする」
「……そんなこと、ない、と思う」
「そう?ふうん」
「……そんなことないから……」
私が顔を下に向けると、ぎゅっと温かい感触が戻る。
「お前さ、歩くの遅い」
そう言いながらも、繋がれた手が優しい。自然と顔がニヤけてしまった。
「……こんな時にヘラヘラ笑えるお前って正真正銘のバカだよね」
「鈍感な人に言われたくないもん」
「はぁ?」
2人で歩く帰り道はすごく新鮮で。
翔くんに彼女さんがいるって現実がありながらも、
それでも、すごく幸せだった。
なんでだか、
翔くんが隣にいると、
心が暖かくなるの。
なんて言ったら、さっきみたいに顔を歪めちゃうのかな。
……そんな顔でも見たいと思う私はきっともう、どうかしてる。