極上ブラザーズ!!(仮)
だけど、
そんな想いも一瞬で消えた。
「――喋らないで。お前が俺に楯突く権利なんて無いの分かるでしょ?」
見下した顔……なのに、どこか不自然だった。
……翔さんの瞳だけは何故か悲しそうで切ない。
様子が変だ、とだけはすぐに分かった。
「か…けるさ…ん…?」
やっとの思いで言葉を口にした。
翔さんは戸惑った表情を一瞬して、すぐまたいつものポーカーフェイスに戻る。
「――っ!!
その目――何。うざいんだけど」
その瞬間、私の顎から翔さんの手が離れる。
でもその勢いでベッドに倒れてしまった私を見て、忌々しそうに舌打ちをした。
「……っチッ」
バン!!!
翔さんは無言で私の部屋のドアを閉めた。
「……な、何…今の?」
私は独り言を小さく呟き、ヘナヘナとその場で座り込んでしまった。
なんで、どうして、こんなこと――?
翔さん辛そうだった。
私……何かした…?
ドアを閉める時の翔さんの表情が、
泣きそうな顔をしているような気して、
私は掴まれた顎の痛さより、
胸の痛さがじんじん広がった。