極上ブラザーズ!!(仮)


「遼さんっ!」


遼さんの後ろ姿に向かって叫ぶ。


「…なんですか。
さっきの僕の言葉忘れたんですか?」


後ろを向いたまま、
遼さんは答えた。

いつもより少し低い声で、
拒絶されていることは一目瞭然だった。

だけど、分かって欲しい。


私の気持ちを。


そして――

遼さんの気持ちを少しでも解りたい。


「…ごめんなさい。
他にどう呼べばいいか分からなくて」

「…それもそうですね。
ま、遼さんでも別にいいですよ」


ため息混じりに話す遼さんに追いついて、
私は遼さんの目の前に立った。


戸惑った顔の遼さんが目に入る。


「――っ!なんですか」

遼さんの瞳が暗く濃くなる。

(――怖い!)

だけど…このままじゃダメなんだ。


「私、世界一嫌いと言われて、
悲しくて……だから…

顔を合わせづらかったんです。


だけど…


分かったんです。
悲しんでばかりじゃダメだって」


吹っ切れたように今まで山積していた気持ちを遼さんにぶつけた。


「そうですか」


でも依然つまらなそうな遼さんに、
私は思い切って叫んだ。


真っ赤になりながら。



< 69 / 169 >

この作品をシェア

pagetop