極上ブラザーズ!!(仮)
って逃げてきたのはいいけれど。
ここ……どこ!?
きょろきょろ辺りを見回しても、
何が何だか分からなくなった。
周りは豪華な建物と木ばかり。
全部同じ景色に見えてしまう。
もしかして…もしかしなくても……
私、迷った?!
ここの学園広すぎるんだよー!!私のバカ………。
途方に暮れていると、足音が聞こえてきた。
だ、誰かいるの…?
「こら。そこの泣き虫。
もうすぐ入学式なのに、何してるんですか」
後ろから遼さんの声が聞こえて、
思わず振りかえった。
「……遼さん…!」
これほど遼さんを見て嬉しかったことはないかも。
助かったよー!
生徒会長である遼さんなら、式場の場所は知ってるはず!
「あのー…私迷ってしまって…式場の場所が…分からなくて…」
情けない声を出す私に、
遼さんはクスクス笑った。
「…バカで方向音痴にも程がありますよ。
………しょうがないですね」
呆れた表情の遼さんはそのまま歩きだす。
どうしたらいいか分からず、
突っ立っている私に遼さんはため息をついた。
「ほら、僕に着いて行かないと、また迷いますよ」
少し立ち止まって、私の方を見る。
その目は優しくて。
前みたいに胸がきゅうと締め付けられた。