【完】TEARS−ティアーズ−
−−ズサーッ
郁君が滑り込んだ瞬間、郁君の上に人が倒れて。
「うわっ、痛っ!」
思わず声をあげてしまうくらいに、それは痛そうで。
だけど、郁君はそれでも笑ってて。
その笑顔に胸がキュンッとしてしまった。
な、なんだろ……これ。
胸に手をあてて考える。
この間も、こんな風になった。
遊園地に行った時。
『笑ってんじゃねーよ、バーカ』
って妖艶な笑みを零した郁君。
その時の顔が頭に浮かんで。
思い出しただけなのに、ドキドキしてしまう。