【完】TEARS−ティアーズ−


なんだろ、これ。


ドキドキと煩い胸をおさえながら、郁君を眺めると、ドキドキはまたはやくなった気がして。

あたしの胸、変なの。


そう思った時、さっき一緒に倒れた人とベンチへと座った郁君の側に駆け寄って来た女の子が目に入った。



あ……あの人。



それは救急箱を持った、サッカー部のマネージャーさんで。

郁君の……彼女。



素早く郁君達の手当てをするマネージャーさんは後姿も綺麗で。

そりゃマネージャーさんだから手当てするのは、当たり前の事。



だけど、それを見てるだけで、あたしの胸はチクチクと痛み出した。



最近あたしの胸?心臓?は、変なんだ。



急にドキドキはやくなったり。

ドキッて痛いくらいに跳ねたり。

チクチク棘がささったみたいになったり。

ズキンって痛くなったり。


ずっとムズムズして痒い感じ。


こんな風になんて、今まで1回もない。


あ。

も、もしかして……なんかの病気なのかな!?



ハッとしたあたしは、携帯を取り出してボタンを押した。

こんな時に頼れる人がいたんだった!
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