【完】TEARS−ティアーズ−
周りをキョロキョロと見まわして、
「いったぁぁぁい!」
今度は、誰も居ないのを確認すると大声で叫んだ。
足からは真っ赤な血と、すでに青くなりはじめているアザ。
それを見ながら、目には涙。
「もーぉ、本当にツイてないよぉ~~~」
誰も居ないのを良いことに大声で叫ぶあたしの頭には、さっきの男の子の顔が浮かんだ。
絶対!
『なに、この変な女』とか思われたんだろうな。
うぅ……最悪だぁ。
少し長めのふわっとした黒髪が印象的で。
スラッとした長身。
恥ずかしかったくせに、チェックだけはしっかりしてしまう、あたし。
だけど、かっこよかったんだもん!
サッカー部のマネージャーが彼女でも不思議じゃないくらい。
よくある、美男美女ってやつだ。
あー、でも本当にツイてない。
哀しみいっぱい。
痛みを堪えて。
嫌味たっぷりな補習を受けさせられて。
最悪な1日。