【完】TEARS−ティアーズ−
「だー! 今日の部活疲れたーーー」
「お前のせいだろーが」
部活が終ったのは、19時。
正宗のせいで監督から目を付けられた俺達は1日中、みんなよりハードな練習だった。
「お腹空いたー! 帰りラーメン行かね?」
「あ、俺パス」
「えぇぇー、何で?」
「何でも、ってことでじゃーな」
「ちょー、郁!」
「あ、松本! 正宗の相手宜しく!」
「え? ちょっと、沢木先輩!?」
うるさい正宗の事を、目に留まった後輩に押し付け部室を出た。
アイツちゃんと待ってるんだろうな?
そう浮かんだのは篠原の顔。
あ、でも。
待つってもどこで待つんだ?
とりあえず、さっきの場所へと早足で向かう。
俺、何早足とかしてんの?
そして正宗が言っていた言葉を思い出した。
『なーにぃ? 郁やたら時計見て? なーんかソワソワしてない?』
頭を左右に振り、その言葉を消す。
何で、あいつの。
乃亜の顔が思い浮かぶわけ?
わけわかんね。
別にソワソワなんかしてねーし。
俺はただ、面倒臭いことに巻き込まれそうで嫌なだけだ。