【完】TEARS−ティアーズ−
「え? なに? なんで?」
口に手を当てて、目線を逸らす郁君。
それは、あきらかに動揺してて。
だけどあたしも何て言っていいかわかんないし、そのまま黙って帰り道を歩く。
空気は凄く重くて。
でも、あたしのドキドキはハンパなくて。
もう無理だって思った。
ドキドキ煩い胸は飛び出しちゃいそうで。
もう何がなんだかわからなくて、つい口にしてしまったんだ。
「郁君!」
思ったより大きく出てしまった声。
「え?」
ゆっくりと振り返る郁君。
「あのっ……あたし……」
「なに? どうした?」