【完】TEARS−ティアーズ−


「え……?」

「あ……」



驚く俺に、驚く篠原。



「しのは……」

「ご、ごめんね! 急に!」

「いや……」

「あたし、何言ってんだろ」



そう笑顔を作って。



「こんなこと言われたって困るよね」



エヘッと笑った顔は、



「郁君、彼女さんだっているのに」



今にも泣き出しそうで。



「無理なお願いだってしてるのに」



それは別にいいんだけど。



「本当にごめんね! 今の……忘れて?」



そう言うと篠原は俺の横を走っていく。

< 138 / 371 >

この作品をシェア

pagetop