【完】TEARS−ティアーズ−
「え……?」
「あ……」
驚く俺に、驚く篠原。
「しのは……」
「ご、ごめんね! 急に!」
「いや……」
「あたし、何言ってんだろ」
そう笑顔を作って。
「こんなこと言われたって困るよね」
エヘッと笑った顔は、
「郁君、彼女さんだっているのに」
今にも泣き出しそうで。
「無理なお願いだってしてるのに」
それは別にいいんだけど。
「本当にごめんね! 今の……忘れて?」
そう言うと篠原は俺の横を走っていく。