【完】TEARS−ティアーズ−
「別に約束した覚えはねぇんだけど……」
「……っ、何で大学行かないの!?」
そう怒った声を出す宮坂の顔を見ると、美人マネージャーって呼ばれるいつもの優しい表情なんて微塵もなくて。
俺をキッと睨んでいた。
「別に大学行ってまで勉強したいとは思わねぇし」
「大学も行かないような彼氏なんて絶対に嫌っ!」
うちの高校は一般に進学校と呼ばれるところ。
だけど、俺がここに入ったのはサッカーが強かったから。それだけ。
別に良い大学に行きたいから、とか。
もっと勉強したいから、とか。
そんな気持ちは全くない。
「同じ大学に行かなきゃ別れるからっ!」
そう宮坂が叫んだ瞬間だった。