【完】TEARS−ティアーズ−
「あ、おかあさん。高峰です」
車に乗ってすぐ、高峰さんが携帯を取り出し話し出した。
相手はママらしい。
「実は今日は休みだったんで、乃亜ちゃんを学校まで迎えに行ったんです」
え?
「ええ、そうなんですよ。
でも入れ違いになってたみたいで、会えたのが遅くなっちゃいまして」
???
「あ、いえ。僕が悪かったんですよ。
ええ、だから今から乃亜ちゃんと食事にでもと思いまして」
へ?
「はい、もちろんです。
では、なるべく遅くならないうちにお家に送り届けますから」
その後も何度か笑った高峰さんが電話を切る頃。
ようやくあたしはその電話の意味を理解した。