【完】TEARS−ティアーズ−
「乃亜ー! 次移動だよー?」
あ、いけない。
またボーッとしてた。
郁君に振られて。
高峰さんに告白されて。
あの日から、あたしの頭はおかしくなっちゃったみたい。
「あー、ごめん。南ちゃん。ちょっと先歩いて行っててー。すぐ追いかける!」
「わかったー。転ばないようにねー」
「はぁい」
南ちゃんは、ときどきママみたいなことを言う。
そんな、いつも転ばないよ。
あたしだって。
教科書と筆箱を持ち、南ちゃんのあとを追いかけた。