【完】TEARS−ティアーズ−


「乃亜、最近学校はどうなの?」

「……え?」



突然聞かれた事に掠れた声が出てしまった。



「勉強はどう?」



ああ、勉強のことか。


一瞬焦っちゃった。

郁君の事を言われたのかと思って。

ママが知ってるわけないんだど、今のあたしの頭の中はそれでいっぱいだったから。


郁君に振られて。

でも、まだ好きで。


振られる前より、もっともっとその気持ちは大きくなっちゃって。

この気持ちを、どうすればいいのかなんてわかんないけど。

今は片想い、そうすることにしたんだ。



「乃亜?」

「へ!?」

「もうっ、また聞いてなかったの?」

「あ、ごめん……なんだっけ?」



あなたはいつも……なんてママはグチグチ言いながら。



「だから勉強の調子はどうなの?」



ああ、そうだった。

勉強のこと聞かれてたんだった!



「う、うん。まぁまぁ……」



なんて大嘘だけど。



「そう?」

「う…うん」



チラッとこっちを見るママの目が恐くて、思わず目を逸らしてしまう。
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