【完】TEARS−ティアーズ−


「いくら高校から上がれるって言ってもテストはあるんだから、気を抜かないで勉強しなきゃ駄目よ?」

「は、はい……」



うちの高校は大学が推薦校になっていて。

高校に入れば、けっこう簡単に大学まで行けるようになってる。



「もうすぐ面談もあるんだからね」



そ、そうだった。

ママのことだから、あたしの成績になんて期待はしてないだろうけど……。


補習のことがバレたらマズイ。

今のうちに点数稼ぎしとかなきゃっ。



「パパとママに恥だけはかかさないようにしてね」



ママはやたらと世間体を気にする人で。


あたしの事を紹介するときは、いつだって

『女の子だから医者にさせるつもりはないんです』

なーんて言って。


医者になれる頭がないんですって、本当の事を言えばいいのに。
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