【完】TEARS−ティアーズ−


そしてドアが開いた瞬間、



「あ、乃亜ちゃん!」



ニッコリと微笑む高峰さんが、そこにいた。



「え? た、高峰さん!? どうしてここに?」

「僕が、おかあさんに頼んだんだ。
乃亜ちゃんを連れて来て欲しいってね」



えええ?

あ!
だから待ち合わせって言ったんだ!


ママったら何で言ってくれないの!?



「隠しててごめんね。悪いのは僕だから、おかあさんを責めないでね」

「でもっ、こんなことしなくたって…」

「こんなことしなきゃ乃亜ちゃん来てくれないだろう?」



う……。

言葉に詰まってしまった。

確かに、普通に誘われてたら断ってた、とは思うけど。



「でも、こんなやり方……」

「うん、ごめんね。乃亜ちゃん怒った?」



ションボリして謝る高峰さん。

そんな風に謝られたら、なんだか言い返しにくくて。



「え……いや、別に怒ったわけじゃなくて」



ただ、こんなやり方しなくたっていいと思うんだけど。

こんな風に騙されるのは気分が悪いもん。
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