【完】TEARS−ティアーズ−
食事を終えて、帰るときまで
「ちゃんと乃亜ちゃんを送り届けなきゃ、おかあさんに怒られるし」
あたしと高峰さんの間には、ママの事がついてまわる。
あたしは、ママの事を出されたら断れない。
今日の、ママは本気で恐いから尚更。
高峰さんの車は、やっぱりとっても綺麗で。
どこを見てたらいいのかな。
外? うん、外だよね。
えっと……普段、車乗ってる時って何してたっけ?
それすらわかんなくなちゃって。
オドオドしてしまう。
この間も乗ったはずなのに。
勢いっていうのは恐い。
郁君に振られて、凄く哀しくて。
何も考えられなくて、高峰さんに言われるまま車に乗ったけど。
改めて乗ると、何だか落ち着かない。
「今日は天気いいね」
爽やかに言う高峰さん。
「あ、はい」
心ここにあらずのあたし。