【完】TEARS−ティアーズ−


「乃亜ちゃん、彼氏とは仲直りしたの?」

「え? あー……」



突然聞かれて、すぐに言葉が出なかった。

それは当然の事。

だって郁君は本当の彼氏なんかじゃないもん。



「まだ仲直りしてないんだね」



はい、とも。
いいえ、とも。

言えない。


はじめに嘘を吐いたのはあたし。

突き通さなきゃいけないのもわかってる。

わかってるんだけど……今のあたしには、その嘘すら辛くて。



「付き合ってどれくらいだったのかな?」

「え?」



高峰さんに質問された内容に、あたしは固まってしまった。

だって……

そんな細かい事まで考えてなかったんだもん。

どうしよう。


嘘すら辛い、なんて言える状況じゃなくなったのは確かで。


なんて言ったらいいのかな。

えーっと……
えーっと……


あ、そうだ!



「1年ですっ!」



少し声が大きくなってしまった。
< 194 / 371 >

この作品をシェア

pagetop