【完】TEARS−ティアーズ−
「乃亜ちゃん、彼氏とは仲直りしたの?」
「え? あー……」
突然聞かれて、すぐに言葉が出なかった。
それは当然の事。
だって郁君は本当の彼氏なんかじゃないもん。
「まだ仲直りしてないんだね」
はい、とも。
いいえ、とも。
言えない。
はじめに嘘を吐いたのはあたし。
突き通さなきゃいけないのもわかってる。
わかってるんだけど……今のあたしには、その嘘すら辛くて。
「付き合ってどれくらいだったのかな?」
「え?」
高峰さんに質問された内容に、あたしは固まってしまった。
だって……
そんな細かい事まで考えてなかったんだもん。
どうしよう。
嘘すら辛い、なんて言える状況じゃなくなったのは確かで。
なんて言ったらいいのかな。
えーっと……
えーっと……
あ、そうだ!
「1年ですっ!」
少し声が大きくなってしまった。