【完】TEARS−ティアーズ−
「1年?」
「はいっ!」
うん、これなら大丈夫だよね。
この間、お友達が言ってたのをマネしただけだけど。
彼氏と付き合って1年になるって言ってるのを、皆が長いねーって言ってたもん。
「乃亜ちゃん、彼氏いないって言ってたよね」
へ?
そんな事……言ったっけ?
あれ?
どうだったかなぁ?
「う、嘘吐いてたんですっ!」
「ああ、なるほど」
苦しい言い訳だったかもしれないけど、高峰さんは納得してくれたっぽいし。
だ、大丈夫……だよね?
「乃亜ちゃんさ、どうしてそんなに僕を避けるの?」
少し寂しそうな顔をする高峰さんからの質問に、あたしは首を傾げた。
本当だ、どうしてだろう。
今まで、そんな風に考えた事なんてなかった。
だって高峰さんとのことは、ママが急に言い出した事だったし。