【完】TEARS−ティアーズ−
訳がわからない状況なのに。
強く握られた手にドキドキしてしまってる。
郁君の広い背中にドキドキしてしまってる。
どれくらい走ったかな。
郁君が止まってくれた時には、あたしは息切れしていて。
2人の間には、はぁはぁ。と荒い息遣いだけが響く。
上手く呼吸が出来なくて、言葉が出ない。
聞きたい事はいっぱいあるはずなのに、
何から聞けばいいのかわからなくて。
未だ握られた手を見つめるだけしか出来ない。
チラッと振り返った郁君と目が合って、
ドキッと胸が大きな音をたてた。