【完】TEARS−ティアーズ−
ああ、そっか。
それで……か。
郁君は、あたしのこと助けてくれたんだ。
それだけ。
それ以上のことは……なかったんだ。
ほんの少しだけ期待していた自分がいたことに驚いた。
もしかしたら……って。
絶対有り得ないことなんだけど、
ほんの少しどこかで期待してたんだ。
だけど、そんな夢みたいなことあるわけなくて。
高峰さんから助け出してくれたのは郁君の優しさで。
その優しさが今は痛い。