【完】TEARS−ティアーズ−
俺の中に、こんな気持ちがあるなんて。
俺が、こんな気持ちになるなんて。
想像もしてなくて。
想像も出来なかった。
ただ篠原は俺の事を好きなままで、いて欲しくて。
その気持ちを簡単に高峰なんかに取られたくなくて。
“我儘”
もう付き合ったりとかいらねぇ、そう思ったから篠原に『ごめん』そう言ったのに。
何で付き合うとか付き合わないって結論を求めるんだ、そうも思った。
今の関係のままで良いんじゃねぇかって。
そう思った……のに。
誰かにとられるのだけは絶対に嫌だ。
まるでガキの我儘じゃねぇか。
そこまで気付いて。
ここまでわかったのに。
俺は、篠原に
『この間の“ごめん”はなかった事にして?』
って。
言った後に、なんだ、それ! って自分自身に突っ込んだ。
『アイツの車に乗るのも止めて?』とか。
『“どうして”も“なんで”もナシで』とか。
まじ有り得ぇ。
こんな告白の仕方ってあるか?
だけど、ついさっき恋に気付いた俺には、これが精一杯だったんだ。