【完】TEARS−ティアーズ−


「お前、俺の事待ってたんだろ。それなのに別々に帰るわけ?」



何回ハズイ事を言わせるんだよ。


それに、どんだけ理解能力ないわけ。



「だ、だって……!」

「だって?」

「……っ、だって郁君。彼女いるもん」



そう呟いた声は聞こえるか聞こえないか、それんくらいに小さくて。



「あ……」



俺は掠れた声を出した。



だって。

俺だって、たった今思い出した。
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