【完】TEARS−ティアーズ−
だよなぁ。
あん時に、別れる! って言われたし。
「あれってケンカじゃなかったの?」
「よくわかんねぇ」
「な……に、それ」
なにそれって言われても、俺にもわからない。
そもそも付き合ってるかすら疑問な関係だったし。
“付き合ってる”そう呼ぶだけで、俺と宮坂の関係は何も変わってなかった気がする。
サッカー部の部員と、マネージャー。
宮坂に好きだと言われたことも、俺が宮坂を好きだと思った事もない。
ただ、宮坂はたまに勝手に決めた事を、俺に言ってきてたけど。
俺は守る気もないし、約束した覚えもなかったから。
大学の事だって勝手に宮坂が決めた事で、俺は約束なんてしていない。
だから別に別れるって言われても、何とも思わなかったし。
別れてたことすら友達に聞いて知るくらいの、そんな関係だったから。