【完】TEARS−ティアーズ−
「郁君、お疲れ様!」
放課後、郁君の部活が終わるのを待つのが日課になってきた今日この頃。
「おお」
フッと笑ってくれる、その顔を見るだけで胸がキュンッて締め付けられちゃって。
「また待ってたのかよ」
何気なく言われる一言に、ズキンッて胸が痛くなる。
「あ……迷惑、だった?」
「え? あ、そういう意味じゃなくて!
部活終わるの遅いし。
それにもう暗いし、女が1人で待ってたら危ないだろ。
って何笑ってんだよ?」
そういつもは言葉が少ない郁君が焦って言ってくれる。
それが嬉しくて、ついニヤケちゃった。
「えへへ」
「わかってんのかよ」
はぁーっと呆れて言う郁君に、やっぱりあたしは笑ってしまう。