【完】TEARS−ティアーズ−
「そっか。
あ、それなら……ね、郁君。
あたしのことも乃亜って呼んで欲しいなー……なんて?」
ちょっとだけ勇気を出して言ってみた。
もし本当に“乃亜”って呼ばれたら照れちゃうんだろうけど。
でも、本当は呼んで欲しい。
郁君に。
「は? べ、別に篠原って呼んでんだし、篠原でいいじゃん」
「……だよねっ」
答えはわかってたつもり。
だけど、バカな事を言った自分自身が恥ずかしくて。
なんだか泣きそうになってしまった。