【完】TEARS−ティアーズ−


結局送れないまま、朝を迎えてしまった。



「何凹んでんの?」

「え!?」



聞き慣れた声がして、振り返ると、そこには郁君が居て。



「い、郁君!?」

「声デカ……」



驚いたあたしは、いつにもなく大きな声を出してしまった。


だって、朝から会うとか思ってなかったし。

今、郁君のこと考えてたし。


なんか、その……色々とあって。



「こんな朝から何してんの? 
もしかして補習だったり?」



悪戯な笑顔にキューンとしながらも、素直に頷くと。



「補習かよっ!」



って驚かれてしまった。


なんでぇ。


郁君が『補習?』って聞いたくせにぃ。
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