【完】TEARS−ティアーズ−
「あ、郁君!」
そう聞こえた瞬間、乃亜に目を向けると。
パァーって音がしたんじゃないかってくらいに、
顔を輝かせて俺のところへと走ってくる。
「おぅ」
照れてる、なんて絶対バレたくなくて。
ぶっきら棒に言ったのに。
「えへへ。早く終わったから待ってたんだ」
なんて、ふわっとした笑顔を向けるから。
俺は乃亜から目を逸らしてしまった。
あー、またやっちまった。
そう後悔した時。