【完】TEARS−ティアーズ−


そう言えば、前に南が言われたことがある。


『郁、がんばんなよ』って。


そん時は突然なんだ?

なんて思ってたけど……

あれって、もしかしてこのことだったわけ?



南……気付いてたんなら乃亜に言ってくれよなぁ。



さっきのプリクラ機みたいに中も眩しく光ってたのとは違い、カーテンで仕切られた薄暗いプリクラ機。

カーテンの下には、たまに人の足が見えるくらいで。


中には二段になった柔らかい腰掛のようなものがあって、俺はそこに座った。



その真ん前では、乃亜が未だ泣き続けている。



何か……俺としては逆にショックなんだけど。

気付いてなかったって事は、俺だけがそう思ってたって事だよな。

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