【完】TEARS−ティアーズ−


そんな中で小さな溜息を零して、目の前で泣き続ける乃亜をそっと引き寄せる。


え? 一瞬そんな顔をした乃亜を無視して。



そのまま、唇を重ねた。



唇が離れた瞬間、急に恥ずかしさとか、照れくささとか、そんなのが一気に押し寄せてきて。



俺、いきなり何してんだよ!



そう自分自身に突っ込みながらも、そこに居る気まずさには勝てず



「出るぞっ」



ぶっきら棒に言って、乃亜の顔を見ないままカーテンに手を掛けた。



だけど、その手を止めるかのように乃亜の手が重なる。



ドクンッて心臓の奥が痛くなった気がした。

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