【完】TEARS−ティアーズ−
「……郁君は、あたしの彼氏なの?」
背後から聞こえる声は弱々しくて。
だけど、なに当たり前の事を聞いてんの? って冷静に思える俺も居て。
本当、こいつわかってんのかな?
そんな事を思いながら、やっと乃亜に視線を向けると。
そこには頬はピンクに染めて。
目には沢山の涙を溜めて。
何故だか少し膨れっ面をした乃亜が居た。
そんな顔なのに、可愛いと思ってしまう。
「じゃなきゃ……こんなことしねぇよ」
そう言った俺は、やっぱり溜息を零し、もう一度乃亜にキスをしたんだ。