【完】TEARS−ティアーズ−


暫くして、宮坂とも離れた俺は、乃亜が行った方へと走り出す。


だけど、乃亜がいるはずもなくて。


今度は乃亜のクラスへと向かった。



「あっ、南! 乃亜は?」

「へぇ? まだ来てないけど?」

「んなはずねぇよ。靴はあったんだから」

「あ、そなの? どこ行ったんだろ。
それよりも郁、なんでユニフォームのままなの?
って、郁ー?」



くっそ。

どこ行ったんだよ。

教室に居ない事を確認すると俺は、また走り出した。


うちの高校は、めちゃくちゃ広い。

全校生徒合わせると、900人を超えるから当たり前なんだけど。

その広い校内を走って捜すのはハンパなくて。


いくらサッカー部の俺だって、息があがってしまった。


頭を乱暴にかいて、腰に手をあて、肩で息をする。


まじで、あいつどこ行った……

って、あああ!


一箇所だけ捜してないところがあった。

テンパりすぎてて忘れてたけど。

乃亜が居そうな場所。


“保健室”だ。


だけど保健室のドアには

“会議中の為、留守です。
用のある人は職員室へ”

そう看板が立ててあって。


はぁーっと重い溜息を零した。


なんだよ、いねぇのかよ。

だけど一応、俺はドアに手をかけてみた。

--ガラガラ
まさかでドアは開いて。


普段なら誰も居ない時は鍵が閉まってるはずだから。

中へ入ると1つだけ白いカーテンがひいてあるベッドがあった。
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