【完】TEARS−ティアーズ−
そこへ近寄り、そっとカーテンを開けると、
「……いた」
そこに居たのは、走り回って捜した乃亜で。
「え? い、郁君!?」
目を真っ赤にして、ティッシュで鼻をかんでる乃亜で。
「捜すの疲れたぁ」
そう言ってベッドにドカッと座った俺。
「い、郁君?」
なーんて、弱々しい声出してんなよ。
「とりあえず、先に昨日の事は謝る。
ごめんっ!」
チラッと乃亜を見ると、眉毛を寄せて哀しそうな顔をしてて。
「で、さっきのは違うから。
宮坂とは何でもない。
これだけは信じて?」
そう言うと、俺から視線を落として。
「本当に?」
また俺を見る。
うんうん、と首を縦に振ると、乃亜の目にまた涙が溜まった。
ひとつひとつ丁寧に説明していく俺の話を聞きながら、乃亜は涙を流し続けて。
俺はその涙を何度も指ですくう。
それだけじゃ間に合わないくらいに、乃亜は泣いて。
こんなに泣かせてしまった事に、胸が痛くなった。
「あたしぃ、郁君が宮坂さんのところにっ、戻っちゃったんだって思ったぁっ」
泣きながらそう言った乃亜に、
「絶対ねぇよ」
そう言うと、また大粒の涙をボロボロ零して。
「あー、もう泣くなよ。
どうしていぃかわかんなくなるだろ」
それでも、涙は止まらない。
「どうしたらいぃ?」