【完】TEARS−ティアーズ−
「郁君ー、ごめんなさぁい!」
《……また遅刻かよ》
「ううう……」
郁君とお付き合いして数ヶ月。
受験生だし、高校3年生だし、そんなにデートが出来ないのもあって。
未だデートの前の日は緊張してなかなか寝付けない、あたし。
だから寝るのが遅くなっちゃって。
そしたら起きるのも遅くなっちゃって。
こうして遅刻する事も少なくは、ない。
《もういいよ》
冷たく聞こえた声に、思わず走ってた足が止まる。
怒った?
そりゃ怒るかもしれないけど。
ううん、怒って当然なんだけど。
でもっ……