【完】TEARS−ティアーズ−


「自炊ってしないの?」

「あー、はい」

「だろうねー、冷蔵庫の中スカスカ過ぎてビックリしちゃったよ」



苦笑いを浮かべた僕に



「高峰さんって、けっこう駄目男だね」



なんて酷いセリフ。



「そ、そんなこと…」



なくは、ない。


ここに引っ越してきた時に、必要な物は買ったけど。

買っただけで使っていない物は沢山ある。

洗濯機だって、仕事で洗濯する時間がないからって言い訳して、いつもクリーニングだし。

アイロンなんて、まだ箱から出してすらないし。

ガスコンロはお湯を沸かすだけの物となっている。



「家が綺麗なのも大して何もしてないからでしょう?」

「う……」



言い当てられて、言葉に詰まってしまう。



「いつも外食なの?」

「……はい」



一応!


医者だから栄養バランスは考えていて。

お店でバランスの良く食べるようにはしている。


こんなの自慢にすらならないんだけど。



「そりゃ体調も崩すよ」



最もな事を言われて、何も言い返せない。
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