【完】TEARS−ティアーズ−
戻ってきた正宗は、呆れる俺の隣に満足げな顔で座る。
満面の笑みってやつを浮かべて。
「はぁ。……お前さ、昼何食う気?」
溜息をひとつ吐いた後、正宗に現実を教えてやると、
「へ!? あぁぁぁぁ〜〜〜」
って。
やっぱり、正宗はただの馬鹿だ。
自分が食うはずだった食券をあげちまったら、食う物がなくなるのは当然で。
それすらわかってないなんて。
「郁~、俺何食えばいい?」
なんて泣きそうな声を出す正宗に、
「これ食えばいいだろ」
と、俺が買った“日替わり弁当”の食券を手渡した。
「いいの? あ、でも郁も食べたかったんでしょう?」
「いいよ、やる。俺は別の買ってくるわ」
そう言って再び自販機へと向かった。