【完】TEARS−ティアーズ−
正宗に着いて来た先は、昔ガキの頃に来た事のあるような小さな小さな、遊園地。
入場料も安いぶん、乗り物もショボイ。
小さな子供向けの乗り物が大半をしめている所だった。
「おい、正宗。
何でここなんだよ?」
呆れた俺は聞いてみた。
だって、そうだろ。
高校生が来る所じゃなくねぇか。
正宗といると溜息が多くなる。
南も同じ事を思ったみたいで、俺の言葉に深く頷きながら正宗を見ていた。
「だって……。
空いていて、安くて、近いところって。南ちゃんが言ったんだもん」
だって、もん、……ってお前はガキかよっ。
「それで決めた場所が……ココなの?」
南の冷たい声。
「南ちゃん、駄目だった?」
「駄目も何も……あんたバカでしょ?」
「えぇ!? バカって……」
酷い言われようだが仕方ないだろ、正宗。
お前は間違いなく、バカだ。
いくらなんでも、こんな所を選ぶバカはお前くらいしかいねーよ。
あたふたしながら、南の周りをチョロチョロと動き回る正宗。
そんな正宗に南の説教は続いて。
思わず俺は笑ってしまった。