【完】TEARS−ティアーズ−
爽快な朝。
……なのは、窓の外だけみたいで。
「乃亜! あなた、また高峰君との約束すっぽかしたんですってね!!」
朝からキンキンとした声で叫んでるママ。
「べ、別にすっぽかした訳じゃないよぉ。
ママが勝手に決めちゃうから…」
「また、そんな言い訳ばかりして!」
「言い訳じゃ……」
『ないもん』って続けたかった言葉は、怒ったママの声に消されてしまった。
「何度も言ってるでしょう?
高峰君とお付き合いするのが、あなたの為には1番良い事だって」
「あ、あたしには、お付き合いなんてまだ早いよっ!
それにお付き合いする人くらい自分で決めたいし」
「高峰君の何が不満なの?
若いのに腕も良いってパパの病院でも評判が良いかたなのよ」
うわわ。
はじまっちゃった。
この話は長くなる。
高峰さんが大好きなママの、“高峰さん経歴話”は、ほんっとーに長い。
そんな話を朝から聞いていたら遅刻しちゃうよ。