【完】TEARS−ティアーズ−
そんな事を思いながら、周りを見ていたあたしの視界に入ってきたのは色とりどりの風船だった。
「あ!」
思わず声が出てしまった。
だって、その風船をウサギが持ってるんだもん。
走り出そうとしたあたしの手首を、郁君が掴んだ。
「は? なに!?」
「風船とウサギ! あっ、行っちゃう! 早く行かなきゃっ」
すぐ側で風船を配っていたウサギが歩き出してしまった。
「ちょ、おい、篠原?」
慌てる郁君に
「郁君、早くしないとウサギ行っちゃうってばぁ!」
そう言いながら、あたしは走り出した。
少し走った所で、ウサギに追いついたあたし達。
ウサギは、また子供達に風船を配っていて、あたしもその列に並んだ。