【完】TEARS−ティアーズ−
「あー……、遅刻しちゃうっ!
いってきまーす!」
「え? ちょ、乃亜!?」
後で怒られる事を半分くらいは、覚悟して。
本当は怒られたくなんてないんだけど。
でも今は遅刻しない方を選ぶしかない!
そばにあった鞄を持って、家を飛び出した。
今日はツイてない。
朝から、ママには怒られるし。
高峰さんの話までされちゃうし。
補習を受けなきゃで、朝から学校に呼び出されるし。
あたし、篠原 乃亜(シノハラ ノア)。
英語のテストに名前を書き忘れて提出した挙句、答えも1問飛ばしで書いたというマヌケっぷり。
当然テストは0点。
頑張って一夜漬けした意味もなく、補習が決定。
苦手な英語を必死に頑張ったのになぁ。
ちょっとくらいオマケしてくれたっていーじゃんね。
こんなことなら一夜漬けなんてするんじゃなかったよ。
英語の先生は、うちのクラスの担任で。
元々相性も悪くて。
『周りは受験で頑張ってるんだぞ』
って、いつも同じ事ばかり。
そんなこと、言われなくてもわかってるもん。