【完】TEARS−ティアーズ−
「正宗君、勝手に居なくなっちゃってごめんね。、これお詫びにどうぞ♪」
そう差し出した風船を受け取った正宗君は、
「わぁ、風船!
乃亜ちゃん、ありがとー!」
とっても嬉しそうに笑ってくれて、あたしも笑顔になった。
「あ、でも郁と南ちゃんの分は?」
「あたしが飛ばしちゃったの」
「あ、そうなんだ。俺だけ貰っていいのかな?
南ちゃんも郁も欲しいよね? 俺2人の分もらってくるよ!」
そう言って走り出そうとした正宗君に、郁君と南ちゃんは、
「いらねーから」
「いらないわよ」
声を揃えた。
キョトンとした顔で
「2人って似てるね」
なんて言った正宗君は、また南ちゃんに怒られて。
何か南ちゃん、正宗君のお母さんみたいだなぁー。
クスクスと笑ってしまった。
一緒に見ていた郁君も笑ってて。
ふと目が合うと、
「なっ? 言った通りだろ?」
そう優しく笑ってくれた顔に、あたしの胸はまたはやくなった。