【完】TEARS−ティアーズ−
「あー、もう!
補習がママにバレたら、また家庭教師つけられちゃうよ」
ブツブツと文句を言いながら、まだ疎らな自転車置き場に自転車を止める。
その時だった。
「……っ、何で大学行かないの!?」
声のする方を見ると、そこには背中を向けている男の子と、こちらを向いている女の子。
あ……あの女の子知ってる。
えっと……宮坂ユミちゃんだったかな?
綺麗でモテてるって噂のサッカー部のマネージャーさんだぁ。
「大学も行かないような彼氏なんて絶対に嫌っ!」
え?
ケンカ……中?
「大学に行かないなら別れるから!」
これって……絶対にマズイ場面だよね?
気付かれないようにソーッとその場を去ろうとしたのに。