【完】TEARS−ティアーズ−
「あー……今日の事は正宗から聞かされてなかったし」
そう言った郁君の表情はくもってて。
彼女さんの事を考えてるんだろうなって思ったら、胸がチクンッて痛くなった。
「……てかさ」
そう郁君が言おうとした時、
「え? た、高峰さん!?」
あたしの声が重なる。
あたしの目の前に、突然止まった黒い車。
運転席の窓がゆっくりと開いたと思ったら、そこには高峰さんが居て。
「え? 誰?」
あたしと高峰さんを交互に見る郁君。
だけど、あたしは運転席から降りてくる高峰さんから目が離せない。
なんで……ここにいるの?