【完】TEARS−ティアーズ−
「乃亜ちゃん、今帰り?」
「あ……、はい」
「お母さんが乃亜ちゃんの帰りが遅いから心配して、僕に連絡してきたんだよ」
ママったら!
何で高峰さんに連絡してるの?
「すみません、お友達と遊びに行ってたんです」
「そう。ならいいんだけど。
……お友達って、その男の子とかな?」
そう高峰さんが指したのは郁君で。
「……はい」
そう答えると、高峰さんは郁君の足元から顔までをゆっくりと見る。
「意外だね。乃亜ちゃんが男の子と遊んだりしているなんて。
まぁ、高校生だし仕方ないか」
その言葉は、すごく嫌味ぽく聞こえて。
「でも、ほどほどにしないとね。
僕がお母さんに叱られちゃうからね」
なんで高峰さんが怒られるの?
「乃亜ちゃん、家まで送るよ。車に乗って?」
そう言われて、あたしは……。
「……るんですっ」
「え?」
「あたし、この人とお付き合いしてるんですっ!」
そんなめちゃくちゃな事を言ってしまった。