《短編》砂山のトンネル
挫折
俺は何がしたいんだろう。22歳にもなって自分の進むべき道を見いだせないでいた。

何をするでもなく、毎日がただ流れる日々。



「お前そろそろ仕事したらどーなんだよ!!」


5つ上の兄貴が言った。

あーあ、うるさい…




兄貴は小さい頃から完璧だった。


壁とゆう壁にぶち当たってきた俺から見たら、兄貴の前には壁なんてないように思えた。


行きたい大学に行き好きなことを学んだ後、昔からやりたがってた仕事についてバリバリ働いている。

順風満帆とはまさに兄貴のためにある言葉のように思えてならない。



「やりたいことないのかよ!?」


黙っていた俺にまた兄貴は言った。


やめてくれっ!!



「ねーよ。」

「お前それでいいと思ってるのか?」



何だよ‥‥俺にだってやりたいことぐらいあったんだよ。

てめぇに言われんのが一番腹立つんだよ。



「俺だって、行きたい学校があったんだよっ!!」


言って後悔した‥‥。


母さんがとても悲しそうな顔で俺を見たから。
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