《短編》砂山のトンネル
濁流
夕暮れかけた空がきれいだ。

昔見た夕日と同じ色なのに違って見えるのは

大人になったからなのか…それとも、大人になりきれないからなのか…


「懐かしいね。」


もう100メートルほどで家に着くという時、ミキが呟いた。


「ねぇ、寄ってかない?」

「いいけど。」


そう言って入ったのは昔よく二人で遊んだ公園だった。


「お尻はまるかな(笑)?」


そう言いながらミキは滑り台の階段を登り始めた。


「はまっても助けねぇからな(笑)」


モデルを目指しているミキだ。はまるはずなんてないけど、俺はそう言って笑った。

それと同時に見事はまる事なくミキは滑り降りた。


「楽しいよ、亮ちゃんも滑ったら(笑)?」


そう言いながら今度はジャングルジムに登り始めたミキ。

俺もその後に続いてジャングルジムに登った。


「低いねー‥‥」


ミキが言った。


「まぁ、だいぶ成長したし?」


当たり前の返事を返した俺にミキはつまらなさそうな顔をして言った。


「昔はここが一番高い場所だと思ってたのになぁ…」


“家の2階のが高いのに変だよね〜(笑)”って笑うミキの横顔は夕日に照らされて、叙情的だった。
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